大学に行く意味ってなんだろう?
- さとのば事務局
- 2022年9月8日
- 読了時間: 7分
更新日:2022年10月13日

「どの大学に行こうか」考えるとき、偏差値だけで大学を決めてしまったりと、その先の生き方や働き方につながらない選択をしてしまう可能性があると思います。
偏差値や有名度だけで大学を選ぶのではなく、
・そもそも自分自身がいま大学に行く必要があるのか
・大学に行くとしてもどんなことを学びたいのか
・大学卒業後どんな生き方をしたいのか
を考えてから進路を考えた方が、有意義な進路選択ができるのではないかと思い、高校生や編入を考えている大学生向けに、大学生へのインタビューを実施しました。
2回にわたって記事を公開していくので、実際の大学生のリアルな声を聞き、大学というものや大学生活のイメージをより広げてもらえたらなと思います。
1人目の大学生は、足立あゆみさんです。
まず、簡単に自己紹介をお願いします。
足立あゆみです。大学3年生で、早稲田大学の政治経済学部に通っています。出身は鳥取県で、ちょうど私の代は入学式のときにコロナが感染拡大して入学式がなくなって。
1年目が完全オンライン授業で、東京に行かなくてもいいやと思い、ずっと実家でオンライン授業を受けていました。
でもずっとパソコンに向かって授業を受けてるのが秋ぐらいになってだんだんしんどくなって「どっか行こう」と思い、宮崎の日南市で開催しているヤッチャの学校という地域留学プログラムに、2020年の1月から3月に参加していました。
その後は2年生からの対面授業だったので、上京して、大学で勉強しながら一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN という若者の政治参加を促進する団体で活動しています。また、今年の4月からは「東京大学情報環学環教育部」という夜間に開講されている学びの場でも勉強しています。
では、普段はどんな風に過ごしていますか?
私はいま3年生で、そんなに必修の授業は多くないので、他の3年生であれば2日間「全休(授業のない日)」をつくれるのですが、
わたしは必修の授業以外にも、他の面白そうな授業を学びたくて必要単位以上に取ってるので、全休を1日にしています。
その全休の日は、好きなことや団体の活動などができるようにして、あとの平日はだいたい10時から16時ぐらいまで授業が入っていて、そのあと一般社団法人の活動をしたり、ご飯作ったり家事をして、課題をして、寝る、みたいな感じですね。
卒業資格を取るためというではなく、いろんなことを学びたくて授業を取ってる感じなんだね
そうですね。今はサークルには入っていないので、その一般社団法人の活動がサークルの活動のような感じになっていて、それ以外は比較的一般的な大学生のスケジュールと同じかなと思っています。
大学に行く前の「大学」というもののイメージと実際入ってみてのキャップはありましたか?
そうですね。はじめにも話したようにコロナで大学に行けない頃は想像してたキャンパスライフが送れないことがすごく苦しかったです。キラキラした大学生活をイメージしたので、ギャップに苦しんだんですけど、いざキャンパスでの授業が始まって大学に行ってみても、想像していたキラキラしたキャンパスライフはないなって思いました(笑)
キラキラしてるってどういうイメージなんだろう?
たくさん友達ができて、授業後おしゃべりをしたりするつながりが生まれると思ってたんですけど、授業を受けて終わったら帰る、みたいな感じで、高校の時のようにクラスがなくて基本個人行動なので、パソコンの前で一人で授業受けてるのとあんまり変わらないとは思いましたね。大学にもよるとは思うのですが。
大学に通ってみて感じているメリット・デメリットはどんなことがありますか?
そうですね、大学に通うメリットは、まず、関心のあることを学べることですね。
高校まではずっと関心の有無にかかわらず授業を受けなければいけなかったけれど、わたしは政治に関心があって政治学科に入ったので、そのなかでもいろんな分野に分かれた関心のある授業を取ることができています。
さらに、ゼミも関心のある分野を研究してる教授のもとで学べたり、好きなことが学べるのがすごくメリットだなと思います。
あとは、図書館などの大学の施設を存分に使えることもメリットですし、授業で高度なことも学べるのですが、それは独学ではできなかったと思うので、教授や同じことに関心があって勉強したいという仲間が周りにいて一緒に頑張れることもメリットだと感じています。
デメリットは、やっぱりお金がかかることかなと思います。
結構学費は高いので、「単位(学士号)をとれればいいや」みたいな感じでなんとなく授業を受けて4年間過ごしてしまうと、お金を無駄にして過ごすことになるのではないかと思います。
今学んでいることや、学びたいと思ってることはどんなことがありますか?
去年頃からドキュメンタリーを撮りたいなと思っていて。それはいろんな活動をする中で、世の中はっきり白黒付けられないことが多いなと思ったことがきっかけでした。政治もそうだし大学もオンラインがいいとか、それこそ大学に行くべきか行かないべきかとか、そういう問いに答えはないんだと思ったんです。
投票率が低いのも、これっていう処方箋が一個ある訳じゃなくて、いろんな要因があったり、「世の中は結構カオスなんだな」と思って、なんかその中で格闘している人だったりとか、そういう世の中の動きみたいなものを長い尺で撮ってみたいと思ったんです。
最近はティックトックなどでどんどん短く分かりやすくキャッチーなものがウケている世の中になっていると思いますが、でもそのカオスの部分ってきっと短い尺では伝えられないな、と思っています。
そこでドキュメンタリーはその手段になるんじゃないかなと思って、情報学環教育部に通い始めました。そこでドキュメンタリーを撮る授業があるので、秋学期に取ろうかなと思ってます。
そんなあゆみちゃんが、どんなキャリアを想像しているのか、大学生活のその先が気になるので教えてください。
本当に全然職業とかは考えていなくて、政治に関係がある仕事や先ほど話した「カオスさ」みたいなものを伝えることが、どの分野でできるんだろう?どういう手段でできるんだろう?みたいなことは、最近よく考えていますね。
それこそマスメディアもありだなとか、でもきっとそれだけじゃないし何ができるだろう、みたいなことを考えている途中ですね。
でも、ヤッチャの学校で宮崎に行く前までは、「有名大学に進学して有名企業に勤めてバリバリ働いてお金を稼ぐ」みたいなレールしか見えてなかったですね。
そこに縛られていた部分があったんですが、宮崎に行ったことでいろんな働き方をしている大人たちとの出会いがあったので、「そういう働き方だけじゃないよな」「働き方の選択肢みたいなのは何でもありだな」と思うようになりました。
でもそのせいで余計迷っている部分もあるかもしれないですね(笑)
ちなみに宮崎ではどんな大人に会ったのかな?
どうやってお金を稼いでるかわからない人も何人かいたりして(笑)でも、みんな本当に働くことが楽しそうで、充実しているように見えて。
都会の会社で夜遅くまで働いて、残業して、次の日また朝早く出て…みたいな生活をしている社会人も多いと思うんですけど、宮崎で出会った大人の人たちからは「働いてるけど仕事って楽しいものでもあるんだよ」ということを教えてもらった気がして、今はそんな働き方ができたらいいなと想像していますね。
なので、学生のうちにいろんな考え方の人がいることを知ったり、いろんな世界線の人に出会ったりすることが大事だと思って、今はいろんな人に会ったりしています。
最後の質問になりますが、あゆみちゃんが今思う、「大学に行く意味」ってなんですか?
そうですね、わたしが今大学に行く意味は「自分の問いを見つけるための猶予期間や利用できる材料があること」ですね。
高校生までで「これについて勉強がしたい」ということを持ってない人は、きっと大学で探せる部分があると思うし、「これについて学びたい」というものがあったとしても、それ以外の分野についても知れたり、関連する授業を受けられて、自分の中でその分野についての問いが深まっていったりすると思っています。
なので、その猶予期間と材料(ともに学ぶ仲間や教授、図書館など)があることが、大学に行く意味なのかなって思います。
なるほど。あゆみちゃんみたいに最初から「政治」という興味があっても、「政治の中でもどんなことに関心があるのか」という風に問いを深められるし、最初から興味のある分野がなかったとしても授業を取ったり、大学生という肩書きを使っていろんな人に出会うことができれば、興味関心を広げたり深めたりすることができる、という感じなんですね。
素敵なお話をありがとうございました!
Comments